OrionARグラス体験レポート|メタの最新ARグラスの特徴や操作性を詳しく紹介

今回はメタ(元facebook)のオリオンARグラスの体験レポートです。

少し遅れての体験になりましたが、それでも強い興味を示し続けたので「まだ見たい?」と聞かれ、「もちろん!」と答えました。

この「オリオン」グラスは一般販売されない製品ですが、もともとは市販を予定していたフル機能の拡張現実(AR)スマートグラス。実際見ると、人々の暮らしは勿論、世界を一変させるものになるのでは、と感じるほど凄いものでした。

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メタのオリオンARグラスを試してみた!

既存のARグラスとの違い

まずこれまでのARグラスを少し振り返ってみます。

Metaには2023年発売のレイバンとのコラボ商品「Ray-Ban Meta スマートグラス」がありますよね。このグラスにはディスプレイはないですが、カメラやスピーカー、バッテリー、ヘッドフォンが内蔵されています。AIアシスタントと会話もできるのですが、表示機能はないのでAIからの返答を耳で聞くことはできても視覚的に確認することはできませんでした。

他にも「Google Glass」を思い出してみると、あれは視界の隅に小さなプロジェクターとプリズムがあり、そこにテキストや画像を投影していました。現実世界の上に直接情報を重ねることはできませんでしたが、視線をその隅に向けると情報を見ることができたんですね。完全なARではなかったものの、一歩前進した技術でした。

また「Meta Quest」のシリーズやAppleの「Vision Pro」(2024年)のようなフルVRヘッドセットもあります。これらは完全に視界を覆い、新しい世界を見せたりカメラを通して現実世界を見せたりすることができます。

Apple Vision Proはこんな感じ。完全に視界を覆う形になっている

メタの幹部たちは「Quest」を「MR(複合現実)」と呼んでいて、「VR」とはあまり言いたがらないようです。Appleは「Vision Pro」を「空間コンピューティング」と呼んでいますが、私はもうそのような複雑な呼び方にはついていけません。

結局どれも「VRヘッドセット」であることに変わりはないですよね。

オリオンARグラスの特徴と初体験

これまで実際に機能するARグラスは見たことがありませんでしたが、今回の「オリオン」は違いました。このグラスには特殊なレンズが使われていて、視界のほぼどこにでも情報を重ねて表示できます。視野角は70度で、現実世界の上に直接映像を重ねることができるんですね。

オリオンARグラス。
黒縁の、昔のアニメに出てくるような雰囲気。

例えるなら、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンが通常の音楽再生と「透明モード」を切り替えるようなものです。「透明モード」では周囲の音が聞こえるようになりますが、このグラスでは現実世界に直接グラフィックが重ねられます。

実際にグラスを付けてみると、これまでのARグラスのプロトタイプ(例えば「Magic Leap」(初代のモデルは2018年)や「HoloLens」(初代モデルは2016年))よりもはるかに自然な見た目です。

こちらは HoloLens2。見た目は先進的で、頭の部分から顔を覆う

従来のARグラスは大きくてゴツい印象が強かったと思いますが、「オリオン」は実際のメガネにかなり近いデザインとなってます。(それでも黒縁メガネと言われそうな雰囲気はしますが)

まだ普通のメガネと間違えるほどの完成度には達していませんが、少し奇抜なデザインのメガネとしてなら全然通用するレベル。これまでのARグラスと比べると大きな進歩で、あと数年もすれば普通の眼鏡ぐらいになりそう、って予感をさせますよね。

解決すべき課題も多くあります。例えば、表示の解像度は高くなく、ピクセルの粗さが目立ちましたし、透明度にも問題がありました。また表示が完全に現実世界に追従していない部分もありました。

それでも透明なレンズ越しに現実世界の上に直接グラフィックが表示される体験は、正に革新的と呼べるものだと思います。

オリオンARグラスの技術と使用感

市販予定だったけど...

メタはこのオリオンARグラスを一度は市販しようと考えられてましたが、最終的には内部開発用のプロトタイプとして残すことになったようです。関係者によると、あと1~2回の改良を経てからリリースしたいと考えていたようです。

この決断は正しかったと思います。別記事でも書いてますが、最近では未完成のまま製品をリリースする企業も多い中、メタは慎重な姿勢を見せたと思います。

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またAppleと比較すると違いは顕著で、Appleは基本的に完成した製品しか公にしませんが(完璧主義みたいな感じですが)、メタは途中段階の製品を見せて「ここまで進んでいます」とアピールすることを選びます。業界内で自社のリーダーシップを示すための戦略なのでしょう。

技術的な特徴と周辺機器

オリオンARグラスは、単体で動作するというものではなく、色々なデバイスと連携してその威力を発揮するものになりますね。

ARグラス本体

まずはメインとなるグラス本体。オリオンARグラスの見た目は普通のメガネに近いですが、内部にはセンサー、カメラ、スピーカーなどがしっかり詰め込まれています。これらのセンサーが現実世界をキャッチして仮想情報を重ね合わせるんですね。

でも全部の処理をグラス内でしているわけではなく(将来的には分かりませんが)、重いデータ処理は別のデバイスに任せて、グラス自体は「映す」ことに専念してるイメージ。だからこそ軽さやデザイン性が保てているんですよね。

外部コンピュータ(パック)

次に「パック」と呼ばれる外部コンピュータ。これが実質的な“頭脳”です。

サイズはスマホくらいで、ポケットやバッグにすっと入れられるコンパクトさ。Wi-Fi 6(最新世代の高速通信規格)でグラスと繋がっていて複雑な計算やアプリの処理を行ってます。(陰に隠れた天才で働き者、みたいな感じ)

ただグラスとパックは物理的に近くないといけなくて、大体3〜4.5メートル以内に置いておく必要があります。なので、パックをポケットに入れて外を歩く…なんて感じがベストですね。

入力デバイス(EMGブレスレット)

そして、個人的に一番「おぉ!」と感じたのが入力デバイスの「EMGブレスレット」。

これは手首に付けますが、なんと筋肉が発する微弱な電気信号を読み取るんです。例えば空中で指をつまむような動作をすると、それを正確に感知してARグラスに伝えてくれます。(未来の世界、キター!)

驚きなのはその精度。なんと手がグラスの視界に入っていなくても認識できるんです。背中の後ろで指をつまんでもOKって、すごくないですか?

さらに手首に装着したブレスレットが小さな振動で「操作完了」を教えてくれるのも嬉しいポイント。これなら画面を見なくても直感的に操作できますね。

このブレスレットは非常に精度が高くて、たとえ手がグラスの視界外にあっても正確にジェスチャーを認識できるようです。例えば背中の後ろで指をつまむ動作をしても、その信号を読み取ることができます。また手首に振動するフィードバック機能も搭載されており、操作の確認ができます。

メタの説明によると、このEMGブレスレットはさらに進化予定らしく、将来的には空中で書いた文字まで認識できるようになるとか。手を動かすだけでメッセージを書けるなんて正に映画の世界ですよね。(トム・クルーズのマイノリティリポートとかが頭に浮かんだぞよ)

未来のインターフェースが確実にここまできてるんだなぁと感じます。

実際に体験したデモ

ここからは、実際にオリオンARグラスを使って試した3つのデモについて紹介します。

マルチタスク体験

これはソファに座りながら、複数のウィンドウを同時に開くというデモ。

目の前に透明なブラウザウィンドウを表示してInstagramのリールを見たり、YouTube「Hot Ones」(アメリカのYouTubeチャンネル「First We Feast」が制作している人気のインタビュー番組)のエピソードを視聴したりできました。

現実世界の中に仮想のウィンドウが浮かんでいる感覚で、他の人からは何も見えないのに自分だけがその映像を見られるという感じですが、映像の見え方としては、Samsungの透明なMicroLEDディスプレイに近い印象。解像度は低めで映像の縁にフレアが見られました。

それでも自分の周囲に仮想のウィンドウを自然に配置できるというのは凄く新鮮です。

AIアシスタントによるレシピ提案

続いてテーブルに置かれた食材をグラス越しに見て、MetaのAIアシスタントに「これらの食材で何が作れる?」と聞いてみました。

AIは各食材にピンを立てそれらを認識し続けました。そして「スムージーが作れます」と提案してきました。

デモとしてはシンプルでしたが、AIがリアルタイムで物体を認識し、提案を行うのは未来を感じさせますね。

ARゲーム体験

最後にARゲームを試しました。

1つ目は頭の動きで操作するスペースシューティングゲームで、トンネル状の空間の中で敵を避けたり撃ったりしましたが、自分の動きに連動してゲームが進む感覚は、「これは映画の世界だ」とか「絶対のめり込む人続出」という感じ。

2つ目はマルチプレイヤーの「3Dポン」ゲーム(2人のプレイヤーが左右に動くパドルを操作してボールを打ち合うゲーム)。

2人のユーザーがそれぞれオリオンARグラスを装着し、部屋に置かれたQRコードを見つめると共通の仮想空間が出現して、その中でお互いにボールを打ち返しながらポンゲームを楽しめます。

現実世界に仮想のゲーム空間を重ね合わせて複数人で遊べるので、こちらも実際試せば「多くの人がはまってしまうな」という感じで凄く新鮮でした。

オリオンARグラスの操作性とユーザーインターフェース

多彩な操作方法がある

オリオンARグラスには複数の操作方法が用意されています。これは便利だ、と思ったのは先ほど出てきた「EMGブレスレットを使ったジェスチャー操作」。このブレスレットを付けると目線の動きと手のジェスチャーを組み合わせて直感的に操作できるんですね。

例えば特定のアイコンに目線を合わせて手のひらの上でコインをピン!という感じで弾くと、そのアイコンが選択される、ということができます。この「コインフリップのジェスチャー」でメニューのスクロールや選択が可能なんですね。

また実はブレスレットがなくても簡易的なハンドトラッキングによる操作もできます。ということは、ブレスレットを付けてない友人がすぐ横にいたとして「ちょっと使ってみる?」みたいにグラスを貸してもある程度の操作ができて体験を共有できちゃうんですね。

VRヘッドセットと違ってARグラスは透明なレンズを通して現実世界を見るので、視線追跡用のカメラを目の前には置けません。ARグラスは目の横から視線を読み取りますが、その精度は高くて十分に実用的だと思います。

マルチユーザーの共有体験がもう未来

オリオンARグラスの魅力のひとつは、マルチユーザーでの共有体験が簡単にできること。先ほど紹介した3Dポンゲームのように、同じ現実空間に仮想のゲームを出現させて複数のユーザーで同時に楽しめるんですよね。

この時、それぞれのユーザーは自分専用の「パック」(外部コンピュータ)を持っている必要がありますが、QRコードを見るだけで同じ仮想空間にアクセスできるのは色々な可能性を見せてくれていると思います。ゲームではX軸やY軸だけでなく、Z軸(奥行き方向)の動きにも対応していて3D空間でボールを打ち合うことができました。

これからすると例えば同じ部屋にいながら仮想のチェスボードを共有したり、協力型のARゲームを楽しんだりと、ゲーム用途の拡張的な使い方は当然考えられますがそれ以外に遠隔地にいる人たちが同じ画面を共有して一緒に作業をする、みたいなことも予感させますよね。

正に映画の世界がもうすぐそこまで迫っているような感じです。

(都会で会社勤めをする必要が完全になくなる世界がすぐそこまで迫ってますよね)

オリオンARグラスの総評と今後の展望

オリオンARグラスの体験を通じて感じたのは、このデバイスが「まだ完成形ではないものの、未来のARデバイスの方向性を示す強力なプロトタイプである」ということ。

それでも「これ、近い将来絶対に市場を席巻するな」と思わずにはいられません。完成形ではないのに、もうすでにワクワクさせてくれる力を持っているんですよね。

メタがこの未完成のプロトタイプを公開したのは、単なる話題作りではなく、開発者や業界関係者にインスピレーションを与えたいという狙いがあるのでしょう。「ほら、ここまでできた!どうよ?」と、未来のAR業界への問いかけのようにも感じます。

もちろん課題もまだまだあります。
実際に使ってみて気づいた点をいくつか挙げてみますね。

  1. ディスプレイの解像度
    映像を見ていてまず気になったのが、ピクセルの粗さ。細かい文字や複雑なグラフィックを表示したときに「うーん、もう少しクリアに見えたら…」と思う場面がありました。特に情報量の多い画面では視認性に課題が残りますね。
  2. 透明度と光の問題
    現実世界に映像を重ねる以上、透明度は重要なポイント。でも明るい屋外では光の反射や映像のにじみが気になることもありました。特に晴れた日に外で使ったら、「あれ?映像どこ行った?」ってなることも(笑)。このあたりは、今後の改良に期待したいところです。
  3. トラッキング精度
    目や手の動きをしっかり追いかけてくれるのは素晴らしいんですが、動きが速いときや複雑なジェスチャーをしたときには認識ミスが起きることも。例えばサッと手を動かしたときに「あれ?今の見逃した?」なんてことがありました。この点も今後改善されると嬉しいですね。

こうした課題も感じつつ、それでも「完成にかなり近い状態」に思えました。この段階でここまで体験できるのは正直すごいなと。

メタは「今回はプロトタイプのままで」と判断したようですが、内心「もうこれ、市販してもいいんじゃね?」とすら思ったほどです。

近い将来、このオリオンARグラスが製品化されるのを想像するとワクワクが止まりません。未来のARデバイスは、もうすぐそこまで来ていますよね。

まとめ

オリオンARグラスの最大の魅力は、現実世界と仮想世界をシームレスに融合できる可能性を示したことだと思います。

複数のユーザーが同じ仮想空間を共有できる機能や、EMGブレスレットによる高精度なジェスチャー操作など、未来のARデバイスに求められる機能が多数盛り込まれてます。

ゲームやエンタメ分野だけでなく、教育、医療、ビジネスといったさまざまな分野での応用も期待できると思いますし、現実の物体に情報を重ねたり、遠隔地にいる人と同じ空間で作業を行うといった使い方も考えられるでしょう。

面白いガジェットというレベルを完全に超えて、世界を一変させるツールになると思います。

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