Rabbit R1レビュー|2万円台で買えるAIアシスタントの実力は?機能や気になるポイントも紹介

今日は「Rabbit R1」をご紹介します。これ、いわゆる「箱に入ったAI」なんですが、今の時代を象徴するような面白いガジェットなんですね。

最近、こういうAIデバイスが増えて来たと思いますがこのRabbit R1もそのひとつ。「Humane AI Pin」っていう別のデバイスと結構似てるところもありますが、違い含めて一緒に見ていきましょう!

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Rabbit R1は箱に入ったバーチャルアシスタント

このRabbit R1は単なるAIアシスタントではないんです。

箱に入ったバーチャルアシスタント、だけど「ちょっと変わった箱」って感じ。例えば「Humane AI Pin」は身に着けるタイプでしたが、このRabbit R1はポケットに入れて持ち歩くんです。スマホみたいな感覚ですね。

サイズ感としては付箋の束くらいかな?とても軽いプラスチック製のキューブ型で、なんと「Teenage Engineering」(スウェーデンの会社)がデザインしています。今、Teenage Engineeringのデザインってすごく人気ですよね!このデバイスも例外ではなく、見た目だけで「Rabbit R1だ!」ってすぐにわかる、そんな存在感があります。

本体の右側にはたった1つのボタンがあります。このボタンを押しながら話しかけると、Rabbit R1があなたの質問に答えてくれます。Humane AI Pinのようなプロジェクターはないんですが、代わりに小さな内蔵スクリーンがついています。そして、内蔵のセルラー通信(4G/5Gなどを使ったデータ通信)はない代わりにSIMカードスロットがあります。充電用にはUSB Type-Cポートも搭載してますね。

話しかけた内容は全部クラウドに送られて処理される仕組み。でも驚いたのがその応答速度。Humane AI Pinよりも圧倒的に速いと思います。これはかなり重要なことですね。

例えば、「月までの距離ってどのくらい?」って聞くと、AI音声ですが「地球と月の平均距離は約384,400キロメートルです。」なんて感じですぐに答えてくれるんです。これは嬉しいですよね。

Bluetoothでイヤホンを繋げたり、内蔵スピーカーの音量を最大にして使うこともできます。また答えは画面にも表示されます。しかも画面の下にはピョンピョン跳ねるウサギのアイコンが常に表示されていて「今、起きてますよ~」って教えてくれるんです(笑)。このウサギがまためっちゃ可愛いんですね。

デバイスをスリープさせたいときは、ボタンをポチッと1回押すだけ。数秒間放っておいても自動でスリープ状態になります。再び使いたいときはもう一度ボタンを押せばOK。ウサギがまた画面に戻ってきます。

設定を変えたいときも簡単。でもちょっとユニークな方法なんです。「ゆすることで消すタイプのお絵かきボード」ってありますが、園と同じような感じでシャカシャカ振ると設定画面が出てくるんです!ちょっと面白いですよね?

あとはスクロールホイールを回して設定を選んでいきます。選択はまたボタンを押すだけ。なんだかアナログ感もあってちょっと楽しい。

ユニークな機能と課題

このRabbit R1には他にもユニークな機能があるんです。それが「スクロールホイール」と「回転式カメラ」。

スクロールホイールは、画面をタッチして操作する代わりに使うナビゲーション用のホイール。でも、正直言うとちょっとクセがあります。その理由は後で詳しく話しますね。

そしてもうひとつ、このAIアシスタントは「マルチモーダル」。つまり音声だけじゃなくカメラを使って視覚的な情報も認識できるんです。これが結構面白いです。例えば、何か見せたいものがあれば、カメラをパカッと開いて、ボタンを押しながら質問できます。

試しに私の部屋にある植物にカメラを向けて、「この植物、何だろう?」と聞いてみると、なんと植物の名前や産地はどこかなど説明もしてくれるんですね。

こんなこともすぐ分かるんだ、と何かゲームをしてるような感覚になりますが、つい調子に乗って「これは何?」「これは?」って、ひたすら色々なものにカメラを向けて確認するのは、多分このRabbit R1のアルアルになりそうです(笑)

もしかしてと、試しにパソコンの画面に表示された長~い文章をカメラで読み取らせて、「これ、要約してみて」とお願いすると、あっという間にサマリーを出してくれました。これにはびっくり、というか、凄く便利でうしょね!ニュースや何かの説明も同じように要約できるので、ちょっとした時短になりますよね。

でも結局のところ、このデバイスは「AIの箱」。一番得意なのは、やっぱり質問に答えること。それだけでも十分面白いんですが、ここからちょっと気になるポイントについてもお話しします。

気になるバッテリーの持ち具合

個々からは少しRabbit R1の気になるところをご紹介。

まずバッテリーの持ちがあまり良くないようです。Humane AI Pinでも気になりましたが、それはRabbit R1も同じかもしれません。

内蔵されているのは1000mAhのバッテリー。でもこのサイズにしては驚くほど早く電池が減っていくかも、という感じ。例えば何も操作せず机の上に置いているだけでも4時間後にはバッテリーが空っぽになることもあるようです。こうなると結構キツいですよね。

一晩充電した後使ってみても、1日持ったかな、と思っていると朝起きたらまたバッテリーが切れてるなんてこともありました。

また充電も時間が結構かかります。1000mAhのバッテリーを0%から100%にするのに45分ぐらいはかかるようです。早い感じもしますがスマホと比べたら結構時間がかかるな、と感じる人もいそうです。急速充電機能もないし、ワイヤレス充電も非対応。

バッテリーについては、1日1度は必ず重点みたいな、初期のスマホのように扱う感じになるでしょう。

また、これは基本ツイてて欲しいという機能がなかったりします。
(いや、個人的な感覚なので、中には、そんなの要らない、スマホで使うし、という方もいると思いますが参考までに)

  • アラームが設定できない
  • タイマーも使えない
  • 写真や動画の撮影もできない
  • メールの送信も無理
  • カレンダー機能もナシ

AIアシスタントとみると、なぜこれを付けなかったんだろう、という感じがしますが、何か意図したことなのかもしれません。

またこれは致し方ない、という類ですが、AIアシスタント特有の問題として「間違った回答」もあります。例えば、自分が正解を知っている質問をしてみても、堂々と間違った答えを返してくることがあるんです。「え?それ違うよ…」って思わず突っ込んじゃうこともありました。このあたりは、まだまだ改良の余地があるなって感じますね。

鮮やかなデザインが良い?!

次はこのデバイスのデザイン面について。

Rabbit R1は「Teenage Engineering」がデザインしたことでも注目されています。この会社、独特で可愛らしいデザインを得意としていて、このRabbit R1も鮮やかなオレンジ色の丸みを帯びたフォルムが特徴的です。確かに目立つし、「おしゃれ!」って思う人も多いと思います。

でも、実際に使ってみると、いくつか気になる点もありますね。

例えば、スクロールホイール。これ、見た目はカッコいいんですが、ホイールが背面からちょっと飛び出しているデザインとなっていて、そのせいか感度が落とされてる感じがします。(個体に依るのかな?)

少し触れただけでスクロールしないようにしてあると思いますが、逆にそれが原因でスクロールが遅い感じがするんです。設定メニューを1行スクロールするだけでも、結構な回転が必要だったり、ホイールには振動によるフィードバックもないので、スクロールしている感覚が手に伝わってこないのも地味にストレスになるかも。

また「戻るボタン」というものがないんですね。よくありがちなシーンだと思いますが、設定メニューの深いところまで入ってしまった場合、戻るにはホイールをひたすら上に回して最初まで戻らないといけない(笑)これ結構面倒だったりしますが、まぁ設定を操作するのもそれほど多くないので、まぁいいかという感じはしないでもない。

また、明るさや音量を調整したいときでは、一方の手でボタンを押しながら、もう一方の手でホイールを回して調整という感じの両手の操作。片手で操作できたらいいのにな、と思う方もいそうですね。

ただ、そうした中で、え?ともったのが、実はこのRabbit R1にはタッチスクリーンが搭載されているんです。が!設定メニューをタップして選ぶこともできないし、スクロールもできないんです。唯一使えるのが「ターミナルモード」という機能。デバイスを横にするとキーボードが表示されて、質問をタイピングできるんです。

このときだけはタッチで操作可能。でもそれ以外ではほとんど触れられない。なぜそうしたのか謎な感じですが、ちょっともったいない気がしますよね。

価格と「大型アクションモデル」について

Rabbit R1はHumane AI Pinと似てる部分も多いと思いますが、差別化のための大きなポイントが2つあるんです。

その2つというのは…価格大型アクションモデル(Large Action Model)です。

まずは価格の話から。Humane AI Pinって、価格設定がとにかく批判されてましたよね。なんと700ドル(約10万5,000円)もするうえに、毎月24ドル(約3,600円)のサブスク料金が必要でした。つまり、そのサブスクを止めた瞬間、ただの文鎮と化してしまうんです。^-^;)これは結構辛い。

それに対してRabbit R1は、なんと200ドル(約3万円)。そして、サブスク料金は一切なし!これはかなり大きな差ですよね。価格だけ見れば、手が出しやすくなっています。

でもここで注意したいのが、Rabbit R1でデータ通信を使いたい場合は自分でSIMカードを用意しなければならないということ。Rabbit自体には月額料金はかからないけれどSIMカードの通信料は当然別途必要になります。だからWi-Fi環境だけで使うなら追加費用はかからないけど、外で使うなら月々のコストが発生するんです。

私は家の中で使うのが主なので良いですが、
もっとアクティブに使う場合にはやはりSIMカードは必要になりますよね。

安価になってる、送られて来た箱などはかなりシンプル。届くのは小さな段ボール箱に入ったRabbit R1だけ。それとケース代わりにもなるカセットテープっぽいプラスチックのケースが付いてくるんですがそれだけ。充電器やUSB-Cケーブル、説明書など一切入っていないんです。マジで「本体だけ」って感じ(笑)。

本体の作りは全体がプラスチック製、でも決してチープな感じではありません。ギシギシときしむこともないし見た目以上にしっかりしています。ただやっぱり「高級感」は期待できないかな…。

カメラもかなりシンプルな作りだし、スピーカーも正直「安っぽい音」と感じそう。内部には低価格帯のMediaTekチップ(Moto G8 Power Liteという150ドル程度のスマホと同じもの)が搭載されています。バッテリーの持ちが悪いのも、このチップのせいかもしれませんね。さらに急速充電やワイヤレス充電にも対応していないので、ここも少し残念なポイントです。(極限までコスト段をはかった結果なのかも)

そしてこのRabbit R1は鮮やかなオレンジ色の一色展開。このオレンジ、見てももらえば分かりますが、結構ビビッドで、ちょっとこの色は苦手、という人もいるかもしれません。

でも、そんな方に朗報!Rabbit R1はdbrand(ディーブランド)とコラボしていて、発売日と同時に専用のスキンやスクリーンプロテクターが用意されてます。例えば、ブラックカモのスキンを貼れば全体的に黒っぽくなりオレンジの部分がアクセントとしてチラ見えして、ちょっと大人っぽいデザイン変えてみることはできますね。

ちなみに、ディスプレイは2.9インチのTFTスクリーン。小さめですが、しっかりした発色。ただし自動輝度調整は付いなく、外に出たときには自分で明るさを調整しなきゃいけません。まぁ、このあたりは価格相応って感じですね。

「大型アクションモデル」って何?

もうひとつのRabbit R1の目玉機能が「大型アクションモデル」(Large Action Model)

聞き慣れない言葉だと思いますが、
簡単に言うと、これはAIが言葉を理解して「行動」に変換する機能のこと。

AIに関して最近よく聞く「大型言語モデル」(Large Language Model)は、言葉の理解と生成が得意なAIですよね?ChatGPTなんかがその代表例ですがこの「大型アクションモデル」は、言葉だけじゃなく実際にアプリを操作して行動してくれるAIなんです。これって、ちょっとワクワクしませんか?

例えば、「Uberでタクシー呼んで」と言うと、AIがあなたの代わりにアプリを開いて、目的地を入力して、タクシーを手配してくれる。そんな未来を想像してみてください。これまでは、API(アプリ同士を繋ぐシステム)を使って似たようなことができましたが、APIは結構制約が多いんです。でも、この大型アクションモデルは、あたかも人間がマウスとキーボードを使って操作するようにアプリを動かしてくれるんです。

これ、凄いアイデアですよね。理論的には、SpotifyやTwitter、銀行アプリなど、あらゆるアプリを使いこなせるはずなんです。例えば、再生ボタンや購入ボタンなどのUI要素を認識して、自分で操作してくれるんです。

ただ現時点では十分なトレーニングデータが揃ってなく、今のところRabbit R1が正式に対応しているアプリは以下の4つ。

  • Spotify
  • Uber
  • DoorDash
  • Midjourney

これらのアプリは、Rabbit R1の専用ポータル「Rabbit Hole」からログインして設定できます。この4つのアプリなら、AIが実際に操作してくれるんです。例えば「この曲を再生して」と言えばSpotifyで曲を流してくれますし、Uberでタクシーを手配したりも可能です。

ただまだ完璧ではありません。例えば、Spotifyで曲を再生しようとしたら違う曲が再生されたこともありますし(まぁ、ちょっとご愛敬ですね)、DoorDash(デリバリーサービス)で注文したら間違った商品が届いたという話も(いや、これは噂です)。Uberでこんなミスが起きたらさすがに、という感じですが、まだそこまでは試してません。

それでも、Rabbitはこの大型アクションモデルにかなり力を入れています。現時点では4つのアプリにしか対応していませんが、実は800以上のアプリのトレーニングは既に進めているそうで、問題はまだそのアプリ用のUI(ユーザーインターフェース)が完成していないこと。なので、今後のアップデートでどんどん対応アプリが増えていく予定なんだとか。

さらに「ジェネレーティブUI」という新機能の開発も進めているとのことで、AIがアプリの種類を認識して自動的に最適なUIを生成するというもの。これが実現すればRabbit側がわざわざUIを作り込む必要がなくなり、対応アプリの数が一気に増える可能性があります。

そして、もうひとつ面白い機能がTeach Mode(ティーチモード)

これは、あなたがRabbitにやってほしい操作を実際に見せて教えることで、AIがその操作を覚えてくれるモードです。例えばあなたが仕事で使う特定のアプリの使い方を教えれば、Rabbitがそれを再現してくれるんです。

なにか段々と映画の世界に迷い込みそうな勢いですが、まだこのTeach Modeも実装されていません。開発中ということで、リリースは今年中を予定しているようですが、具体的な日程は未定です。

SF映画の実現が、もうすぐそこに迫ってますよね。

テクノロジーが抱える課題にも注目

さてここからは少し話題を広げて、今のテクノロジー業界全体の流れについても触れていきたいと思います。このRabbit R1の話をしていると、どうしても避けられない話題なんですよね。

最近、「完成には至ってないと思われる形で発売される製品」が増えてきたと思いませんか?今までは「製品を完成させてから売り出す」のが当たり前でした。でもこれからは「ある程度完成したらまず売り出し、その後からアップデートで完成させる」っていう流れが主流になってきてると思います。

この「まだ完成は先と思われるものを発売する」スタイルには、それなりに課題というものがありますよね。

例えば、ゲーム業界を見てみましょう。大手スタジオが出すAAAタイトル(大規模なゲーム作品)ですら、発売直後は結構バグがあったりします。「後日アップデートで修正します!」なんてことが普通のことに思えてきました。

また「これはベータ版です」とか「アルファ版です」なんて言いながらもフルプライス(定価)で販売されてたり。なんだか納得いかないことも多いですよね。

この傾向は、ゲームだけじゃなくて自動車業界にも広がっています。新車を買ったのに一部の機能がまだ使えない…なんてことが普通にあったり、「次回のソフトウェアアップデートで追加されます」など言われても、「最初から付けといてよ」ってつい思っちゃいますよね。

もちろんスマートフォン業界でも同じようなことが起きています。新機種が発表されたとき、「この新機能は数ヶ月後のアップデートで利用可能になります!」なんてアナウンス、聞いたことがあるかもしれません。昔なら完成品をそのまま発売してたと思いますが、今は「後から完成させる」前提で売られている製品も増えて来てるようです。

そして、AIを搭載したデバイスは、まさにこの問題の極み。

Rabbit R1も例外ではなく「今はほとんど使えないけど、数年後には素晴らしい製品になるはず!」みたいな期待だけで売られている感じがするのは私だけ?

もちろん、製品がアップデートでどんどん良くなっていくのは素晴らしいことです。昔は一度買ったらそれで終わりだったけど、今はソフトウェアの改善で機能が追加されたり、性能が向上したりします。でも、その裏返しとして「最初はまだ完成してなくてもいいや」という風潮が広がってしまうとしたら、少々残念なことなのかも。

最後に:AIアシスタントの未来に期待!

私含めて多くの人が「超パーソナライズされたAIアシスタント」にすごく期待してると思います。

理想を言えば、人間のアシスタントと同じレベルで自分のことを理解してくれて、何でもサポートしてくれる存在が欲しいんですよね。そんな未来を夢見ているので、Rabbit R1みたいな製品が登場するのは、すごくワクワクします。

でも、こういうAIアシスタントを作るのって本当に難しいんですよね。というのも良いアシスタントを作るには「膨大な量の個人データ」が必要だから。あなたの趣味、スケジュール、よく行く場所、食べ物の好み…そういった細かい情報をすべて知っていないと、本当に役立つアシスタントにはなれないんです。

Rabbit R1の価格設定が低めに抑えられているのも、この理由が大きいと思います。開発者側としては、「なるべく多くの人に使ってもらって、たくさんのデータを集めたい」という狙いがあるんでしょう。というのも700ドル(約10万5,000円)+月額24ドル(約3,600円)もするHumane AI Pinに比べて、Rabbit R1は200ドル(約3万円)。この価格なら「まぁ、試してみようかな」と思える人も多いと思います。

ある意味「賭け」みたいなものかもしれませんが、数年後には今とは比べものにならないくらい賢くなっている…そんな未来が空くそこまで来ているのを感じます。

これからもRabbit R1みたいな「将来に期待する系」のデバイスには期待したいですね。

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